実録!通訳案内士2次試験 私の場合③「通訳とシチュエーション質疑編」

2021年2月20日

こんにちは。かずです。前回に続き、2018年敗退した二次試験の振り返りです。2018年から登場した「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」の実際の試験の様子をお届けします。長い!略して「シチュエーション質疑」「とか、通訳とシチュエーション問題」とか呼ばれています。

通訳案内士2次試験 シチュエーション質疑とは何ぞや

通訳案内士の現場には、ハプニングがつきものです。悪天候で旅行を続けるのが難しくなったり、楽しみにしていた目的地に何らかの理由でたどり着けなかったり、想定外の注文をつけられたり。旅行の安全とお客様の満足度を保ちながら、最善の方向へと導く技量が試されるのが、この試験です。

まずは日本文化に関連する通訳問題から

ネイティブと日本人の試験官が2名と自分が向い合せにすわり、日本人試験官から説明されました。「これから日本語を読み上げます。読んでいる間はメモを取ってもかまいません。読み終わったら、通訳をはじめてください。制限時間は1分間です。」

問題文の読み上げ速度は、ゆっくりめで、はっきりと話してくれました。内容は、なにかしら日本文化に関係のある事柄です。このときは、日本の旅館について。伝統的な日本の旅館には、布団や畳があり、温泉や浴衣がついていること。夕食は和食のコース料理で、一泊二食付きの料金体系が多いこと。

内容そのものは、すごく難しいわけではありません。聴き取った内容を、発音や文法に注意しながら、訳し残しのないように、1分の制限時間内に終えることが大事です。数字や単位はしっかりと聴き取って正確に訳しましょう。

そしてシチュエーション質疑へ

通訳問題が終わると、あらたに紙が渡されます。そこに書いてあるのは、「想定されるハプニングの内容」と、「与えられた条件」です。何らかのトラブル、と書きましたが、その前に訳した通訳の内容に関連しています。私はたった今、日本旅館について説明する文章を通訳したところです。その次に目にしたものは。

「あなたは外国人旅行客を案内しています。今日の夕食は、旅館で和食のコース料理。あなたのお客さんは、和食を食べたくないという。通訳案内士として対応してください」というものでした。その下に書かれた「条件」とは、「今から料理の変更はできません」。さあ、どうやって説得しましょうか。

ボク本当に魚キライなの

小学生か!と突っ込みたくなるところですが、試験官は、役者魂すごかったです。本当は和食大好きかもしれないのに、私たちの試験につきあって、本当に魚嫌いな外国人観光客になりきって、相手をしてくれたのですから。

私の対応は、こんな感じでした。「すみません、夕食のメニューは和食のコース料理です。もし和食が嫌いで食べられないのなら、アラカルトで別に単品が頼めるか、ホテルのスタッフに聞いてみましょうか。でも別料金がかかります。」

それに対するネイティブ試験官の反応は、「ボク本当にお魚キライなの。西洋の人って魚キライな人多いと思うよ。」私「そしたら、他にどんな単品のものがあるか、きいてきましょうか?」

試験官はここで質問を変えてきました。「旅館の朝ご飯はどんな感じ?」私「野菜や卵、白いご飯、お味噌汁。いろんなものが出ます。魚は鮭が多いかな。ごはんはおかわりできるし、たくさん食べられます。」

模範解答が発表されるわけではないので、何が正解、というわけではありません。私はこの年(2018)2次試験で不合格になったのですが、この最後の質疑がアワアワでした。。

かなえられないお客さんの無理を、どうかわすか。この場合は、和食キライ、となってしまっているゲストに、和食とはどういうものか、を説明することが大事だったのかな、と今では思います。

日本の誇る「和食」の良さとは

「和食」は日本が世界に誇る「自然を尊重する日本人の精神を反映した食事」なのです。2013年には和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。その和食の魅力とは。

海や山の幸がふんだんに取り入れられていること。

一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルに基づき、栄養バランスも優れていること

四季の移ろいを食事で表現しています。季節の花や葉を盛りつけに使ったりして季節感を大事にしていること

お正月にはお節料理、ひな祭りやお彼岸に食べる料理など、和食は年中行事にも密接にかかわっていること

これらを踏まえて、和食はあなたのキライな魚だけではなく、色とりどりの野菜や卵、フルーツもあるので、目にも美しく、魚も生ではなく調理されているものも出る。栄養も素晴らしいし、なにより健康的。品数が多いので、何か口に合うものがあると思います。どうしてもダメだったら、別のものを頼めばいいから、一度トライしてみて。

というふうに、導ければよかったのかなあと、今では思います。

シチュエーション質疑のポイント

お客さんに、ただ「ダメ」と伝えるだけではダメです。たとえダメでも、ゲストがハッピーなままで、他の楽しみを見いだせるようにうまくもっていくのが大事。終始笑顔で、ハプニングの中でも楽しさを見出し、日本の魅力が思い出に残るような旅。そんな旅につながる演出ができるような通訳案内士を目指したいですね。

2018の試験を終えて

試験官は終始笑顔で、自分でもやり切った感がありました。難化しているとはいえ、なんとか通ったかな…と淡い期待を抱いていたのですが、結果は不合格でした。次回からは、3度目の正直、2019年の試験の様子をお届けします。