実録!通訳案内士2次試験 私の場合⑥「2度目の挑戦ーシチュエーション質疑編」
こんにちは。かずです。前回の通訳編に引き続き、最後の関門、「シチュエーション質疑」についてお送りします。(前回の「通訳問題編」はこちら)

正式名称、長っ!
「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」
これが正式名称です。長すぎるので、「現場に即した質疑対応問題」とか「シチュエーション質疑」とかよばれています。
この質疑のポイントは、外国人観光客を案内する際、現場でありそうなハプニングやゲストの要望をふまえ、通訳案内士として、どのように対応するか、を即興でやりとりする点です。目の前にいる試験官が、外国人観光客だと想定して、誠心誠意のホスピタリティや、現場対応能力を試されます。
内容は、通訳問題とからんでます。
通訳問題では、私は「桜前線」についての、日本語の説明を英語に訳しました。無事英訳が終わると、「ではこちらの紙をご覧ください」と、シチュエーション質疑に関する説明文が手渡されます。
*桜を楽しみに東京にやってきた外国人観光客。ですが、東京の桜はすでにほとんど散ってしまっています。通訳案内士として、試験官をお客様にみたてて、対応してください。
*外国人観光客は、個人旅行とします。時間や行先についての制約はありません。
そうです。通訳問題は「桜前線」についてでした。その流れで、「桜」つながりの問題になっています。
決まった答えはありません
口述試験では、正解がひとつだけあるわけではありません。仮に、完璧な答えを用意できたとしても、相手に聞きとってもらえないような発音だったり、冷たく機械的な受け答えだったとしたら、合格にはなりません。
桜は散っている。場所は東京。個人旅行。この条件をふまえて、心の中で対策を練ります。1分間、読んで考える時間が与えられています。さてどうするか。
返答として浮かんだアイデアは、まだ桜が咲いていそうな、東京以外の桜の名所をご案内するパターン、そして、桜にこだわらず、他の楽しみを提案するパターン。答えは1つではありません。お客様を失望させないように、そっちのほうが楽しそう!と思っていただけるように。
こんなふうに答えました
「桜を楽しみに来てくださったのに、すみません。すでに散ってしまっています。でも!お花見の楽しみは、桜だけではないんです。屋台は今でもたくさん出ています。フードスタンドでおいしい料理を楽しみましょう!」
外国人試験官が、観光客の役です。お客さんは疑問に思ったことをどんどん質問してきます。
「屋台ってどういうのがあるの?」
「スナックも、スイーツも、いろんなものを売ってます。私のおすすめは、焼き鳥。」
ここで、焼き鳥っていうのは、炭火で鶏肉を焼いたもので、ソースの味は…と説明したかったのですが、すぐに次の質問が!
「屋台はどこに行けばあるの?」
東京観光、という設定なので「墨田川沿いにたくさんあります。川はきれいだし、船にも乗れるし、スカイツリーも見える。浅草も近いです。」
「浅草は行ったことあるんだ。他にどこかある?」そうきたか。
「上野も近いですよ。美術館や動物園があって、かわいいパンダにも会えます!」
「お花見って、みんなどこでするの?」ここで、お花見についての質問に変わりました。
「大きい公園にはたくさんの人が集まるけど、家族やグループで近所の公園でもお花見します。小学校の入り口にはたいてい桜があるし、日本中どこでも楽しめるんです。」
「新宿だと、どこがいい?」そうよね、観光客だもんね。
「新宿御苑や新宿中央公園がお花見スポットとして有名です。でも入場料が必要なところもあります。」短いテンポでどんどん質問してくる試験官だったので、たとえば新宿御苑の入場料は500円とは、ここではあえていいませんでした。次に「いくらくらいするの?」って聞かれたら自信満々で答えようと思ってましたが、
「夜でもお花見できる?」これもひっかけ問題ですね。
「公立の公園は夜はゲートが閉まるところもあります。」ここで終了です。肩の力抜けました!
あとできちんと調べたところ、入場料がかかる新宿御苑は、春の季節は18時閉園でした。新宿中央公園などの、街の一部になっているようなところは、仕切られているわけではないので、24時間通り抜けはできます。
戦い終わって
こうして3年にわたる、通訳案内士試験への挑戦が幕を閉じました。発表まで、約2か月、ドキドキしながら日々を過ごし、2020年2月に合格証書を手にすることができました。
次はあなたの番です
次はあなたに合格証書が届くといいですね。今後も通訳案内士試験に関連する情報をお届けしていきますね。